こんにちは!うーしーです。
世界的にSDGsが掲げられ、持続可能な社会を目指す動きが強まるとともに、代替肉が世界で広く食べられるようになりつつあります。
そこで、気になる国内外の代替肉に取り組む企業を徹底解説していきます。
今回はアメリカのインポッシブルフーズです。
インポッシブルフーズ(Impossible Foods)とは?
インポッシブルフーズはアメリカのカリフォルニア州に本拠地を置くフードテック企業です。
スタンフォード大学教授の生化学者であるパトリック・O・ブラウン氏が2011年に立ち上げました。
同じアメリカのビヨンドミートと並ぶ、世界を代表する代替肉企業2強のうちの1つです。
2019年に上場したビヨンドミートに対し、インポッシブルフーズは未上場です。
そのため株価は公開されておらず、時価総額も不明です。
インポッシブルバーガー(引用元:Impossible Foods)
インポッシブルフーズのミッションは
”EAT MEAT. SAVE THE PLANET.”(肉を食べて、地球を救え)
です。
・環境への負荷を減らす最も効率の良い方法は植物から作られた肉・魚・乳製品に移行することであること
・好きな物(肉・魚・乳製品)を食べるという小さな行動が地球を救うという大きな変化につながること
がHP上で説明されています。
畜産が気候変動に与える影響を重くとらえ、将来的に牛肉の消費量が増えることにも危機感を抱き、動物性食品への依存から脱却することを目指しています。
牛の需要が減れば、温室効果ガスの排出量が減り、森林破壊や生物多様性の損失を抑えることもできます。よって、家畜の要らない世界の実現を目標としているのです。
具体的には2035年までに動物の肉を置き換えるミッションを掲げています。
環境への具体的な影響として、インポッシブル・バーガーは通常の牛のひき肉のハンバーガーと比較すると、
・土地使用量:96%減
・温室効果ガスの排出:89%減
・水使用量:87%減
というデータをHPに示しています。
インポッシブルフーズの代替肉の原料・栄養成分
インポッシブルフーズの代替肉の大きな特徴は「ヘム」という化合物が含まれていることです。
同社は、肉の要素を栄養・フレーバー・見た目と調理体験・食べ心地の4つに大きく分け、これらを動物性の肉と同等かそれ以上のレベルにした代替肉の提供を目指しています。
そこで、加熱とともに赤から茶色へと変色する視覚的要素や様々なフレーバーによる嗅覚的要素を実現する上で重要となるのが「ヘム」です。
ヘムは鉄を含む化合物で、血液中のヘモグロビンに含まれます。
一方、インポッシブルフーズは、ヘムの大量生産(発酵)に遺伝子改変した酵母を使用しており、食品規制の面で販売国の拡大が難しくなっています。
引用元:Impossible Foods
主な原料
代表的商品「インポッシブル・バーガー」の主な栄養分とそれに相当する原料は以下の通りです。
・タンパク質
大豆とジャガイモ
・香料
ヘム、酵母エキス
・脂質
ココナッツ油、ヒマワリ油
・その他
メチルセルロース、食物でんぷん(食材をまとめる増粘剤)
ここで、インポッシブル・バーガーの原材料と栄養成分を紹介します。
インポッシブルバーガー
2枚入りからの販売で、成形されていない”Ground Burger”もあります。
アメリカの通販サイトtargetではパティ2枚入りで5.29ドル(約580円)でした。
amazonやtarget、自社HPのレビューではどれも星5つ中4.6と好評価です。
インポッシブルバーガー(引用元:Impossible Foods)
原材料
水、濃縮大豆たんぱく質、ココナッツ油、ヒマワリ油、天然香料、
2%以下の成分:ジャガイモたんぱく、メチルセルロース、酵母エキス、培養デキストロース、変性食品デンプン、大豆レグモグロビン、塩、混合トコフェロール(酸化防止剤)、分離大豆プロテイン
ビタミンとミネラル:グルコン酸亜鉛、チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、ビタミンB12
栄養成分(113gあたり)
カロリー 240kcal
総脂肪 14g(飽和脂肪 8g、トランス脂肪酸 0g)
コレステロール 0mg
ナトリウム 370mg
炭水化物 9g(食物繊維 3g、砂糖1g)
たんぱく質 19g
ビタミンD 0mg
カルシウム 170mg
鉄 4.2mg
栄養成分はビヨンドミートのビヨンドバーガーと非常に似ている印象です。
インポッシブルバーガーを食べたことのある知り合いによると、驚くほど肉らしかったとのことで、ヘムが代替肉にもたらす「肉らしさ」は相当なもののようです。
インポッシブルバーガーひき肉タイプ 12オンス(引用元:Impossible Foods)
その他インポッシブルフーズの代替肉商品
インポッシブルソーセージ
牛肉の代替品であるインポッシブルバーガーに対し、こちらは豚肉の代替品です。
2021年8月にアメリカ国内スーパーマーケットでの家庭向けの販売も始まりました。
タンパク質や脂質といった主原料はインポッシブルバーガーと同じで、バーガーに入っていないものとしてオニオンパウダーやガーリックパウダーが添加されています。
味はSAVORYとSPICYの2種類があります。
インポッシブルソーセージ セイボリー(引用元:Impossible Foods)
インポッシブルソーセージ スパイシー(引用元:Impossible Foods)
インポッシブルソーセージの環境への具体的な影響は、
・土地使用量:41%減
・温室効果ガスの排出:71%減
・水使用量:79%減
とのことです。
インポッシブルチキンナゲット
同社初の鶏肉タイプの代替肉で、2021年9月に発売された植物性のチキンナゲットです。
主原料は大豆タンパクで、ヘムは使われていません。
味覚テストにおいて動物性のチキンナゲットよりも好評という結果も出た、柔らかでジューシーな代替肉とのことです。
インポッシブルチキンナゲット(引用元:Impossible Foods)
インポッシブルチキンナゲットの環境への具体的な影響は、
・土地使用量:48%減
・温室効果ガスの排出:36%減
・水使用量:43%減
とのことです。
インポッシブルポーク
2021年9月23日にニューヨークで発売開始された豚ひき肉タイプの代替肉です。
コレステロール0であることに加え、通常の豚ひき肉と比べカロリーは37%、総脂肪は59%とのことです。また、この商品はヘムを含みますが、インポッシブルビーフパティやインポッシブルソーセージよりは使用量が少ないようです。
インポッシブルポーク(引用元:Impossible Foods)
10月からは香港の100以上のレストランで提供され、その後シンガポールでも販売される予定です。
中でも香港では、日本でも馴染みの深いチェーン店「京都勝牛」でもインポッシブルポークが提供される予定のようです。
また、インポッシブルポークの環境への具体的な影響は、
・土地使用量:66%減
・温室効果ガスの排出:77%減
・水使用量:81%減
とのことです。
インポッシブルフーズの販売国・店舗 日本での販売は?
アメリカ国内ではインポッシブルフーズの製品は広く販売されており、現在約30000のレストランと約20000の小売で取り扱われています。
その他の国では香港、シンガポール、カナダで販売されています。
さらに、2021年12月にはオーストラリアとニュージーランドでヘムの使用が認証され、進出の準備が進んでいるようです。
一方、ヘムの規制によりヨーロッパや中国への参入は進んでいないのが現状です。
日本への進出もまだで、規制面が今後のカギとなるでしょう。
そんな中、中国には求人を出しており、進出の意図がうかがえます。
インポッシブルバーガー(引用元:Impossible Foods)
外食チェーンだと、バーガーキングでは2019年4月にインポッシブルバーガーが使用された「インポッシブルワッパー」が発売され、現在アメリカ全土7000店舗の他、カナダのバーガーキングでも販売されています。
また、スターバックスではアメリカ国内以外にも2020年9月に香港・ニュージーランド・シンガポールでインポッシブルフーズの代替肉を使用したメニューが導入されました。
まとめ
以上、インポッシブルフーズについてでした。
遺伝子組み換え食品の安全性の議論は慎重に行ってほしい一方で、ヘムによってどのように肉に近い味わいが再現されているのかを体験してみたい思いもあります。
上場も近いと予想されており、今後の動きが気になるところです。
参考資料
Impossible Foods
フードテック革命 世界700兆円の新産業
Foovo
VegNews
green queen
Twitterでは
・記事の更新情報
・ベジカレーや代替肉グルメ
・インターンしているネクストミーツについての情報
などを発信しています。
良かったら、ぜひ見てみてください!
コメント